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Tips of the health

豆知識

健康に関する「豆知識」をお伝えします。ぜひご覧ください。

45. 口腔ケアが誤嚥性肺炎を予防する

毎年12万人前後の方が、肺炎で亡くなっています。 がん、心臓の病気についで死亡原因の第3位です。

今、治癒率の低い高齢者の「誤嚥性肺炎」が問題視されています。食べ物や唾液などと共に細菌を気道に誤って吸引することによって起こる肺炎を「誤嚥性肺炎」と言います。しかし、誤嚥すると必ず肺炎になるわけではありません。肺炎はほとんど細菌性で、細菌が肺の中で増えて初めて、治療を必要とする感染症となります。つまり、細菌を含まない食物のみの誤嚥では、原則として肺炎は起こりません。

ではなぜ誤嚥で肺炎になるかというと、夜間就寝中に口の中の雑菌を含んだ唾液などが誤嚥されることがきっかけです。とくに、脳梗塞後やインフルエンザになった後、過労、睡眠薬内服などで悪化しやすいので、注意が必要です。

つまり、夜間の微量誤嚥は毎日起こっていても、健常な人は肺炎になりにくいが、何らかのリスクが加わった時に、局所の肺炎が治らずに徐々に炎症を広げていき、治療を必要とする細菌性肺炎として発症します。

①「誤嚥性肺炎」は細菌性ですので、抗菌薬で治療します。

②誤嚥しても肺炎を起こさせない、あるいは悪化させないのが「口腔ケア」です。口腔ケアをすることで、口の中の衛生状態が改善し、肺炎の予防と治癒促進が期待できます。口腔ケアの効果は絶大で、「誤嚥性肺炎」の発症を半分に減らしたデータもあります。歯科専門職がおこなう口腔ケアは特に有効であることが知られています。

③声を出す筋肉と嚥下に使う筋肉の多くが共通しているので、なるべく声を出したり、歌を歌うことなどで、楽しみながらの「嚥下リハビリ」は有効です。

 

 

                         (日本歯科評論 寺本信嗣先生)

 

44. 歯ブラシの選び方

時間をかけた丁寧な歯磨きができない方が、歯ブラシを小型のものに変えると、かえって磨き残しが増してしまいます。歯ブラシの大きさを決める際は、日ごろ歯磨きをしている時間を考慮する必要があります。

①時間をかけた歯磨きができない場合は「大きめの歯ブラシ」を選択して下さい。

②これまでむし歯が多くできた方は、異なる毛の太さの歯ブラシを組み合わせた「複合植毛の歯ブラシ」を選択して下さい。

③歯槽膿漏に配慮する必要のある方で、歯の根元を狙った歯磨きの継続が難しい方は「大型で幅の広い歯ブラシ」を選択して下さい。さらに、「幅の広い歯ブラシ」は歯磨きのストロークが安定しやすいので、腕の力が低下するなどして細かい歯磨き動作を苦手とする方に推奨できます。

④握力の弱い方は、「握る部分が太めの歯ブラシ」を選択して下さい。

⑤歯ブラシの操作が苦手でも、時間をかけた歯磨きができる方は「極細毛の歯ブラシ」を選択して下さい。極細毛の歯ブラシは、歯面に合わせて角度つけをしなくても、毛先がたわんで細かいところに届きやすい特徴があります。一方で、極細毛はラウンド毛に比べて1回のストロークでとれる汚れの量が少ないので、歯磨き時間の短い方にはお勧めできません。

                         (日本歯科評論 高柳篤史先生)

 

43. 口腔内の「がん」とは・・。

 

上皮性の悪性腫瘍を総称して「癌腫」と言います。

口腔に発生する癌腫の大半は「扁平上皮癌」であり、わずかに「基底細胞癌」や「腺癌」などがみられます。いずれも悪性腫瘍としての性格に大差はありません。

原因は物理的慢性刺激、化学的刺激、放射線、ウイルス、遺伝、内分泌異常などが発癌因子としてあげられていますが、真因は不明です。40歳以上を癌年齢と言いますが、とくに50~60歳代に多くみられます。若年者に発生することもありますが、若いほど腫瘍の進行は速い傾向を示します。

口腔領域における「癌腫」は稀ではなく、口腔粘膜のいずれの部位にも発生しますが、とくに歯肉粘膜、舌、口腔底、頬粘膜、上顎洞などに多くみられます。症状は発生部位によって、多様です。粘膜癌の初発症状としては、比較的限局性の「腫れ」があり、やや進行して大豆くらいの大きさになると、境界不明な「びまん性」ないしは癌腫特有の「花野菜状」になります。

初期は無痛で、時に不快感あるいは違和感程度ですが、神経にまで及ぶと神経痛様の激痛になります。腫瘍の硬さは通常硬い場合が多いです。

治療としては、切除する外科的療法や放射線療法、化学療法、癌免疫療法またはこれらを併用した治療がおこなわれています。

                              (小口腔外科学)

 

42. 慢性期の脊髄損傷マウスをiPSで「回復」成功

 

iPS細胞(人工多機能性幹細胞)と化合物を組み合わせて、脊髄損傷のけがから時間がたった「慢性期」のマウスの運動機能を、リハビリなしで回復させることに、岡野栄之・慶応大教授の研究チームが成功しました。回復が難しいとされる慢性期の治療につながる可能性があります。

研究チームは、けがで後ろ足が動かなくなって42日目のマウスを使用し、ヒトのiPS細胞から神経の基になる細胞を作ったのち、その細胞にアルツハイマー病治療薬として開発された化合物「r セクレターゼ阻害剤(GSI)」を加えた後に、約50万個をマウスに移植しました。GSIは神経細胞の成長を促すとのことです。移植した細胞は約1.5割が神経細胞に変化し、移植後56日でマウスは後ろ足でも体をある程度支えられるようになるまで、機能が回復しました。チームによると、細胞移植の治療のみで「慢性期」の回復が確認されたのは世界初とのことです。脊髄損傷の患者は、国内だけで15万人以上おり、多くが慢性期の方です。

 

41. iPS心筋で心機能改善

 

超極細で繊維状の「ナノファイバー」を使って、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から厚みのある心筋組織を作製することに成功したと京都大と大阪大の研究チームが発表しました。ラットへの移植で心機能の改善を確認しました。将来的に心筋梗塞の治療法への応用が期待できるとのことです。論文が米科学誌「ステム・セル・リポーツ」に掲載されました。

iPS細胞から心筋組織片を作製する際に、従来の培養皿を使う方法では、組織の厚みがなく、細胞がばらばらの方向を向くなど、実際とは異なっているのが課題でした。そこで研究チームは、体内で分解される素材を使ったナノファイバーをiPS細胞と組み合わせて、厚みのある心筋細胞を培養しました。この方法で作製した組織片は、細胞が同じ方向を向く配列になり、体内の心筋組織と似た構造になりました。細胞同士の連絡が良くなっているためとみられます。また、組織片を心筋梗塞のラットに移植すると、心機能が回復しました。

研究グループの京都大大学院工学研究科の劉莉特定准教授は「来年度には大型動物の実験もして、将来の実用化を目指したい。」と話しています。

 

40. 急性白血病の根治につながる研究

 

急性骨髄性白血病(AML)の根治につながる治療法を開発したと、理化学研究所の石川文彦グループディレクターらの研究グループが米科学誌に発表しました。患者の細胞を組み込んだマウス実験で約8割が根治したとのことです。今後、ヒトへの応用のための研究を進めます。

AMLは、複数の遺伝子異常で起こる血液の癌です。研究グループはALMを再現したマウスの遺伝子を解析し、「FLT3」という遺伝子の異常が白血病細胞をつくることを突き止めて、2013年に遺伝子異常の働きを抑える化合物を開発しました。

一方、大半のマウスはこの化合物だけでは白血病細胞の数は減るものの、根治できないこともわかりました。研究グループは「BCL2」というたんぱく質が、白血病細胞を生かす働きをしていることも突き止めて、「BCL2阻害剤」とこの化合物を併用する治療法を開発しました。17人の患者のうち14人の細胞を組み込んだマウスの白血病細胞を死滅させることに成功しました。

研究グループは、理研が出資するベンチャー企業を米国に設立していて、19年にも患者への臨床試験を始める予定です。石川グループディレクターは「1日でも早く患者に提供できるようにしたい。」と話しています。

 

39. iPS細胞から「運動神経の束」を作製

 

ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から運動神経の束を作ることに成功したと、東京大生産技術研究所のチームが米科学誌「ステムセル・リポーツ」(電子版)に発表しました。体内により近い状態が再現できたことで、運動神経の異常で起こる難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」などの病気の治療薬開発につながる可能性があるとのことです。

運動神経は、体の各筋肉が動くよう脳から出される電気信号が通る細胞で、通り道に当たる部分を「軸索」と呼びます。ヒトiPS細胞から運動神経の軸索を作ることはどきますが、体内により近い状態の軸索を作ることはこれまでできませんでした。

チームは、ヒトのiPS細胞から作った運動神経を約1万個集めて球状組織を作製し、独自に開発した装置内で培養したところ、球状組織から伸びた数千本の軸索が接着し、25日間で太さ0.05~0.1ミリの束になりました。

作製した運動神経の軸索の束を調べたところ、体内の運動神経と同様に電気信号を伝えることを確認しました。酸化させやすい水溶液に漬けると、機能が低下する様子も観察できました。ALSは運動神経が細胞死する難病で、その一因に酸化ストレスが挙げられています。

チーム代表の池内与志穂講師(分子細胞工学)は「ALS発症のメカニズムの解明や治療薬の開発が期待できる。」と話しています。

 

38. ビタミンDが 癌のリスクを減らす

 

ビタミンDが十分に取れている人は、不足気味な人に比べて、癌になるリスクが2割程度低くなるとの研究結果を国立がん研究センターの研究グループがまとめ、英医学誌「BMJ」電子版に発表しました。ビタミンDと癌との関係を調べた研究では最も規模が大きいとのことです。

採血に協力した全国の40~69歳の男女を2009年までの平均16年間追跡し、癌になった人を含む計約8000人について「保存していた血液中のビタミンD濃度と癌発症との関係」を調べました。

ビタミンDの血中濃度が低い人から高い人へと4つの組に分けて、最も低い組を基準にした場合、2番目に低い組は癌の発症リスクが19%低下。2番目に高い組は25%低くなりました。最も高い組も22%低下しました。

ビタミンDは魚類やキノコ類に豊富に含まれるほか、日光に当たると体内で作られます。同センターの山地太樹・分子疫学研究室長は「過剰にとる必要はないが、食事に加えて適度な日光浴が重要です。」と話しています。

 

37. ボタン電池の子供誤飲に要注意!

 

子供がボタン電池を誤って飲み込む事故が、2011~15年の5年間に全国で少なくとも1000件近くに上り、排出されないまま消化管に穴が開くなどの健康被害が確認されていたことが、東京慈恵医大と一般社団法人「電池工業会」による初の実態調査でわかりました。

ボタン電池には、直径2センチ前後の「コイン形」と1センチ前後の「ボタン形」があります。

調査結果によると、11年からの5年間で、誤飲により小児外科や小児救急を受診したのは計939件。自然に排泄されたケース以外に、食道や胃、十二指腸などにとどまり傷つくといった健康被害が15件(うちコイン形は14件)ありました。患者の年代は不明です。

国民生活センターが昨年公表した0~2歳児の事故調査では、誤飲が最も多かったのは「たばこ」で、「電池(多くはボタン電池)」、「医薬品」が続きました。

ボタン電池を飲み込むと、体内で短時間に化学反応が起き、消化管に穴が開くことも。周辺の血管を傷つけて大量に出血すると、最悪の場合は死に至る恐れがあります。

調査した東京慈恵医大・小児外科の吉沢穣治講師は「体内からの摘出は時間との勝負です。飲み込んでしまったと思ったら、確証がなくても、ためらわずに医師に連絡して下さい。」と強調されました。

 

36. 「健康な肥満」遺伝子を特定

 

同じように太っていても糖尿病やメタボリック症候群になる人とならない人の違いは何なのか。神戸薬科大臨床薬学研究室の池田宏二准教授(循環器内科)らのグループは、この「不健康な肥満」と「健康な肥満」の謎に迫る遺伝子をマウス実験で特定した、と発表しました。

グループは、マウスが肥満になると、遺伝子の一つ「Fam13a」が健常のマウスの約10分の1に激減することを確認しました。マウスの脂肪細胞でこの遺伝子を欠損させたところ、肥満でなくても軽いインスリン作用不全を示しました。

一方で、「Fam13a」の発現率を高めたマウスは、太ってもインスリンが十分に機能して、糖尿病やメタボになりにくいことが判明したことから、この遺伝子がインスリンの作用に重要な役割を果たしていることがわかりました。

 

35. アルツハイマー病のリスクを血液で判定

 

アルツハイマー病の発症リスクを高める脳内たんぱく質のたまり具合を血液検査で判定する方法を、国立長寿医療センターと島津製作所のグループが開発しました。脳の画像検査に匹敵する精度の高さで、診断法や治療薬の開発につながる期待があります。

アルツハイマー病は発症の20年くらい前から、脳に異常なたんぱく質「アミロイドベータ」がたまり始めます。これを調べるには、陽電子放射断層撮影(PET)などの高額な画像検査や、負担が大きい脳脊髄液の検査しかないとされてきました。

研究グループは血液中に微量に漏れ出すアミロイドベータに関係する3種類の物質を組み合わせて分析し、脳内に蓄積しているか精度良く推定する方法を開発しました。これを使って日本やオーストラリアの高齢者232人の血液を分析したところ、PETの画像検査で測定できたアミロイドベータの蓄積の有無と約90%の割合で一致したとのことです。血液の分析には、同製作所の田中耕一シニアフェローが開発し、2002年のノーベル化学賞受賞につながった質量分析の技術が使われています。

グループは「簡便で低コストの診断や高齢者の検診に役立つ可能性がある。」と話しています。臨床現場の診断に使うには数年かかる見通しです。ただ、診断できても、今はまだアルツハイマー病を根治する薬がないため、治療薬や予防薬の開発を並行して進めることが重要と指摘しています。

 

34. 骨格筋 幹細胞の培養に成功

 

特殊なたんぱく質を含む培養液で、「骨格筋の幹細胞を培養することに成功した」と、東京医科歯科大の赤沢智宏教授のチームが米科学誌「ステムセル・リポーツ」で発表しました。全身の筋力が低下する難病「筋ジストロフィー」など、筋肉に関する病気の創薬や治療法開発につながる成果とのことです。

骨格筋の幹細胞は、骨格筋を構成する筋繊維の表面にあり、体内で筋損傷が起こると、幹細胞が増殖して新しい筋肉へ成長し始めます。幹細胞を体外へ取り出すとすぐに筋肉に成長してしまううえ、筋肉に成長してから体内に戻しても、元の筋肉に根付きませんでした。

体外での幹細胞培養を目指していたチームは、筋繊維の表面で幹細胞周辺に多く存在する3つのたんぱく質を特定し、それらと分子構造が似ているたんぱく質などを使って幹細胞を培養すると、筋肉にならずに幹細胞のまま増殖させることができました。この方法で健康な成人から提供された幹細胞を培養して、筋ジストロフィーの症状を持つ免疫不全マウスに移植すると、マウス体内で、筋肉の細胞へと成長することを確認できたとのことです。

実験を担当した東京医科歯科大大学院生の石井佳菜さんは「難病発症のメカニズムを解明し、創薬にもつなげたい。」と話しました。

 

33. 「口腔がん」進行前に発見を

 

舌など、口の中にできる「口腔がん」はあまりなじみはありませんが、進行した状態で見つかることが多く、国内では年間約7400人が死亡しています。早期に発見すれば、死亡率は低くなるだけに、定期的な検診をお勧めします。

口腔とは口の中全体を指します。舌や歯肉、頬の粘膜や骨などにできるがんを「口腔がん」といいます。なかでも舌によくできます。

最大の特徴は、死亡率が高いことです。口腔がんの死亡率(約46%)は、胃がん(約39%)や乳がん(約19%)よりも高くなっています。口腔がんに詳しい奥羽大歯学部の高田訓教授(口腔外科)は、死亡率が高い理由について「がんが進行した状態で受診するケースが多いからです。」と話しています。

がんの進行度合いはステージ1から4まであります。初期のステージ1~2の段階では、口内炎のようなただれはあっても、痛みを感じることはほとんどありません。また痛みはあっても、我慢できる程度のために受診しないケースが多く、強い痛みを感じて病院に駆け込むときには、すでにステージ3に進んでいる場合が多くなります。

がんの進行が速いのも、「口腔がん」の大きな特徴です。痛みのないステージ1~2から、痛みを強く感じるステージ3までは約2カ月と短く、さらにステージ3から舌などの組織が壊死し始めるステージ4まではわずか1ヶ月程度です。

ステージ1~2の段階で手術すれば、仕事や家事にほぼ100%復帰できて、日常の会話にも不自由はほぼありません。しかし、ステージ3~4で手術した場合は咀嚼障害が残ったり、会話で言葉が不明瞭になったりします。

奥羽大学の高田先生は「口の中の同じ場所に2週間以上、口内炎のようなただれが続く場合は口腔外科の専門医に診てもらったほうがよい。」と話しています。

 

32. 「胎盤幹細胞」作製成功で不妊治療に期待

 

胎児と母体をつなぐ胎盤になる能力を持つ「胎盤幹細胞」(TS細胞)の作製にヒトで初めて成功したと、東北大などのチームが米科学誌「セル・ステムセル」電子版に発表しました。胎児に影響を与える薬物を調べるのに役立つほか、不妊治療や再生医療への応用に期待できるとのことです。

胎盤は、母体から胎児に栄養や酸素を送ったりする器官です。妊娠した状態を維持したり、胎児の成長に必要やホルモンを作りだしたりする役割があります。

チームは、健康な女性が出産後に提供した胎盤から、成長していない未分化の細胞を採取して、特殊な条件の下で培養し、胎盤になる能力のあるTS細胞を作製しました。さらに、このTS細胞を分化させ、胎児と母体との間で栄養や酸素などをやりとりする役割がある細胞や、胎児と母体をつなぐ血管を作る時に働く細胞なども作製できたとのことです。

ヒトで胎盤を再生できれば、着床障害の不妊や妊娠合併症の治療法を開発したり、投与した薬物が胎児にどれだけ影響を与えるかを調べたりすることが期待されます。

iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)は体の各器官や組織の細胞を作ることができるものの、胎盤の細胞は作れませんでした。受精卵からはTS細胞を作れましたが、倫理的問題がありました。チームを主導した有馬隆博・東北大大学院教授(分子生物学)は「基礎研究だけでなく、患者の細胞から胎盤を作って治療法を開発したい。」と話していました。

31. 医療費控除は領収書の提出が不要に

 

納税者が本人や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合は、「医療費控除」として確定申告の際に所得から差し引くことができます。申告は管轄の税務署もしくは郵送で行います。

確定申告書には医療費の領収書の添付が必要でしたが、2017年分から不要になりました。代わりに医療費控除の明細書の詳しい記載が必要となります。

明細書の書式は、国税庁のホームページからダウンロードできます。

医療保険者から送付されてくる医療費通知(健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」など)を添付すれば、そこに記載された医療費については明細の記入を省略できます。

記入内容確認のため、税務署が領収書の提示を求める場合があります。そのため5年間は領収書の保存が必要です。

17年分から19年分までは、これまでと同様に領収書の添付や提示による申告も可能です。

30. AIで糖尿病の合併症発症を予測

 

藤田保健衛生大と第一生命は、人工知能(AI)を使って、「糖尿病の患者が半年後に重い合併症を発症するかを予測するシステム」を開発しました。同大学は重症化の予防に活用したいと考えていて、第一生命は保険加入基準の拡大や新たな商品の開発に役立てたいと考えています。

糖尿病は肥満や運動不足などがきっかけで、血糖値を下げるインスリンの働きが低下し、重くなると腎臓の機能が低下して人工透析が必要になることもある「糖尿病腎症」などの合併症が出ます。

チームは糖尿病に関する約2500万本の論文の他、糖尿病などの患者約13万2000人の電子カルテのデータや栄養記録などをAIに学習させて、ここに糖尿病腎症の症状が無い初期の患者データを入力して、180日後に腎症が進行して発症するかを予測しました。過去の患者データで確かめると、71%の精度で正しく予測できたとのことです。

29. 10~30代の歯周病 遺伝子異常が原因か

 

若い人が発症する歯周病は、遺伝子の異常が原因になっている可能性があることを、東京医科歯科大のチームが国際歯学誌に発表しました。免疫に関する遺伝子の異常が一部の患者に共通することを発見しました。

歯周病は高齢者に多いとみられていますが、最近は若者の患者も増えていて、侵襲性歯周炎と呼ばれます。歯を支える骨が急速に溶けるなどの症状があります。10~30代で発症することが多く、国内で数万人の患者がいるとみられています。生活習慣病などが原因となる高齢者の慢性歯周炎とは異なり、原因が不明で治療も難しいのが現状です。

チームは、侵襲性歯周炎の患者99人のゲノム(全遺伝子情報)を解析して、このうち10人に、細菌感染時に免疫を発動する遺伝子に異常が見つかりました。10人のうち3人と2人はそれぞれ同じ家系で、遺伝する可能性があることがわかりました。

歯周炎は最近感染による過剰な免疫反応で起こることが知られていて、この遺伝子の異常が反応をより過剰にして、急速に症状を進行させている可能性があるとのことです。

チームの和泉雄一・同大教授(歯周病学)は「遺伝子検査などで、早期の発見や予防につながる可能性がある。」と話しています。

28. 肥満促進の酵素を特定

 

自然科学研究機構基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)の研究グループは、「肥満の場合は脳の中で特定の酵素が増えて、食欲を抑制する体内ホルモンの働きをブロックしている。」とする研究成果を、英電子版科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表しました。肥満をつかさどる脳内メカニズムの発見です。

食事をすると、体内の脂肪細胞から「レプチン」というホルモンが分泌されて、脳の摂食中枢に働きかけて食欲を抑制します。が、しかし 肥満の場合は、食欲が止まらない「レプチン抵抗性」が起きていましたが、原因不明でした。

研究グループは、肥満が進むと脳内に現れる酵素「PTPRJ」に注目しました。

通常のマウスと、遺伝子が欠損してこの酵素が作れないマウス各12匹に、生後16週まで高脂肪食を与えました。その結果、遺伝子欠損マウスは体重が14%、体脂肪は40%減りました。高脂肪食を食べ続けるとこの酵素が増えて、レプチン抵抗性が生じ、肥満が進むはずなのが、酵素が欠けている場合は、抵抗性が生じずに摂食量が抑えられたため、「酵素がレプチンの食欲抑制を妨げている。」と、結論づけました。

研究グループは、「この酵素が血糖値を下げるインスリンの働きを妨げている」ことも解明しています。リーダーの新谷隆史准教授(神経生物学)は、「酵素の働きを抑制する薬を開発できれば、肥満と糖尿病の双方を改善できる可能性がある。」と説明しています。

27. 日焼け止めで「ビタミンD」欠乏状態も

20代の女性が週3回以上「日焼け止め」を使った場合、血中のビタミンD濃度が常に「欠乏状態」になっていたことが、大阪樟蔭女子大のどの研究チームの調査でわかりました。ビタミンDは日光に含まれる紫外線(UV)を浴びることで体内で作られ、骨の形成に関わる栄養素です。不足すると、骨粗しょう症などになりやすくなります。同大では「直ちに病気になるわけではないが、ビタミンDを含む食品で補ってほしい」としています。

研究チームは2016年5月から1年間、同大の学生など20代の女性延べ101人について、日焼け止めの使用頻度や食習慣などを調査しました。その結果、日焼け止めを週3回以上使うグループの血中ビタミンD濃度の平均は、通年で基準を下回る「欠乏状態」だったとのことです。厚生労働省によると、骨や健康を保つ濃度の基準は1ミリリットルあたり20ナノグラム以上で、それを下回る場合は「欠乏状態」とされます。

また、1980年代の女性と比較した結果、血中濃度は通年でかなり低下していました。同チームの津川尚子・同大教授(公衆衛生学)は「女性は日焼け止め対策で日光によるビタミンD合成量が少なくなりがち。サケなどビタミンDを多く含む食品を意識的に食べてほしい」と話しています。

26. 大腸の異常をAIで判定

国立がん研究センターとNECは「大腸の内視鏡検査中に、がんや、その前段階のポリープを自動的に検知して医師に伝え、診断を助ける人工知能(AI)システムを開発した。」と発表しました。見逃しを防ぎ、大腸がんによる死亡が減らせると期待されます。

このAIは、内視鏡画像で異常があると判断すれば警告音を鳴らし、モニター上でその場所を囲んで示します。

早期の大腸がんやポリープの画像約5000例をディープラーニング(深層学習)という手法でAIに学習させた後、さらに約5000例の内視鏡画像を判断させたところ、異常な部位の98%を発見できました。動作が高速で、検査中に判断を内視鏡医に伝えられるのも特徴です。

医師の目だけに頼った検査では、ポリープが小さくて見つけにくかったり、医師の技量にばらつきがあったりして、24%が見逃されているとの報告もあります。今後は実際の検査で効果を確かめるほか、肉眼で発見しにくいがんやポリープの学習も進め、精度を高めるとのことです。米国の研究では、がんにつながるポリープが見つかった場合、積極的に取り除くと死亡率を下げられることがわかっています。

 

25. ご自分の歯「80歳で20本」5割超す

厚生労働省は、80歳で自分の歯が20本以上ある人の割合が推計で51.2%に上り、初めて2人に1人以上になったとする「2016年歯科疾患実態調査」の結果を公表しました。

40.2%だった11年の前回調査から10ポイント以上増えました。担当者は「歯を強くする成分を配合した歯磨き粉が増えたほか、高齢者らの口腔ケア意識が高まった結果ではないか」としています。

20本は「入れ歯なしに」ほとんどの物を食べられる目安で、厚労省は「8020運動」と名付けて高齢者の口腔ケアを推進しています。

調査は昨年10~11月、全国から抽出した1歳以上の男女6278人を対象に実施し、うち3820人の口の中を歯科医が診察しました。

20本以上の歯がある人の割合は、75~79歳で8.5ポイント増の56.1%、80~84歳で15.3ポイント増の44.2%でした。80歳時点での割合は、75~84歳の結果から推計しました。

1日の歯磨き回数は、1回が18.3%で3.6ポイント減少。一方で2回は1.5ポイント増の49.8%、3回以上は2.1ポイント増の27.3%となり、2回以上の割合は前回よりも増えました。

調査は6年ごとに実施していましたが、今回から5年ごとに変更されました。

 

24. 貼るインフルエンザワクチンを開発

皮膚に貼って使う新しいタイプのインフルエンザワクチンを北海道大学などのチームが開発し、長崎市で開かれた日本臨床ウイルス学会で発表しました。

マウスを使った実験で注射より効果が高いことが確かめられ、新型インフルエンザとしての流行が懸念されるH5N1型の鳥インフルエンザウイルスにも効いたとのことです。

貼るワクチンは、シートに長さ約0.5ミリの非常に細かな針が並んだ構造で、皮膚に貼りつけると針が溶けて、中のワクチンが体内に入る仕組みになっています。

チームはマウスを使って、毎年流行する季節性のA型インフルエンザとH5N1型で実験したところ、注射より少ない量のワクチンでも効果があったとのことです。  

北大大学院獣医学研究院の迫田義博教授は「人間への活用を目指したい。」と言っています。  

 

23. 世界初の人工「硝子体」開発成功

東京大と筑波大の研究チームは、眼球の中を満たす「硝子体」に代わる人工組織を世界で初めて開発したと発表しました。これを使えば、網膜の手術後1週間程度は下を向いて過ごさなければいけない不便さを解消できるとのことです。ウサギで有効性を確かめていて、2,3年後には人で治験を始めたいとしています。東京大の酒井崇匡准教授(高分子科学)らが英科学誌「ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング」(電子版)に発表しました。

硝子体は眼球内の大部分を占めるゼリー状の組織。国内で年間10万人が受けていると推計される網膜手術では取り除き、最後に代わりのガスかシリコンオイルなどを眼球内に入れて患部を固定します。これらは、後に眼球内に染み出てくる水分より軽いため、目を正面に向けていると眼球上部に集まり、奥にある網膜の最も重要な部分「黄斑」を確実に固定することができません。このため、患部が安定するまでの約1週間は黄斑にガスやオイルがきちんと当たるように、うつむいていなければなりません。オイルは後日抜き取る手術も必要です。

人工硝子体はゼリー状の特殊な有機化合物で99.5%は水分です。眼球に染み出てくる水分となじみ、むらができないため下を向いている必要がありません。自然に分解されて体外に排出されるために、除去手術も不要です。筑波大の岡本史樹講師(眼科学)は「無害で副作用がありません。ウサギの眼球に1年間入れておいたが、視神経など周辺組織に異常はありませんでした。」と話ました。

 

22. 異種で臓器作製、治療成功

マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)などから膵臓をラットの体内で作り、その組織を糖尿病のマウスに移植して治療に成功したと、東京大医科学研究所の中内啓光教授らの研究チームが英科学誌ネイチャー電子版に発表しました。異なる種の動物の体内で作った臓器を移植して、病気の治療効果を確認したのは世界初とのことです。

ラットはマウスより大きく、種が異なる。

ブタなどの体内でヒトの臓器を作って移植する再生医療の実現につながる成果で、山口智之・東大医科研特任准教授(幹細胞生物学)は「今後は、よりヒトに近いサルの細胞で臓器を作る研究に進みたい。」と話しています。

チームは、遺伝子操作で膵臓ができないようにしたラットの受精卵に、マウスのiPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を注入してラットの子宮に戻しました。誕生したラットの膵臓はマウスのもので、一般的なラットの膵臓の10倍ほどの大きさに育ちました。

育った膵臓から、血糖値を下げるインスリンなどを分泌する膵島を取り出して、糖尿病を発症させたマウスに移植したところ、20日後には血糖値が正常になり、1年後でもその状態が維持されました。がん化などの異常は確認されていないとのことです。

ラットの体内で育った膵島を調べたところ、血管にラットとマウスの細胞が混じっていましたが、マウスに膵島を移植して約1年後に移植部位を調べると、ラット由来の細胞はなくなっていたとのことです。

 

21. ヒトES細胞から「ミニ小腸」作製成功

ヒトのES細胞(胚性幹細胞)から、機能を備えた「ミニ小腸」を作り出すことに成功したと、国立成育医療研究センター研究所の阿久津英憲・生殖医療研究部長らが、米医学誌「JCIインサイト」に発表しました。

腸の難病の治療法や創薬開発につながり、将来的には移植医療への応用も期待されます。

腸は臓器の中でも構造や機能が複雑で、さまざまな細胞に成長できるES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)から人工的に作り出すのは難しく、これまでに作製が報告されているのは表面部分だけでした。チームは約5000個のES細胞が1か所に集まるように設計した特殊な皿を使って培養したところ、ES細胞の集合体は約2カ月で大きさが1センチほどの立体的な小腸に成長しました。腸が食べ物を送り出す際に、伸びたり縮んだりする「ぜん動運動」がみられたほか、栄養分や薬の成分を吸収する能力なども備わっていました。

チームは「診断・治療法の開発、薬の安全性試験はミニ小腸を使ってすぐにでもできる。将来的には、ミニ小腸を患者の小腸に移植して、働きを代替させるような臨床応用も考えられる」としています。

 

20. アトピー性皮膚炎の「かゆみの源」を発見

アトピー性皮膚炎の「かゆみ」を引き起こす源となるたんぱく質を、九州大学・生体防御医学研究所のチームが、マウスの実験で突き止め「英科学誌電子版」に発表しました。チームは「将来、かゆみを根本から断つ治療薬の実現も期待できる」としています。

これまでの研究で、かゆみを直接引き起こすのは「IL-31」というたんぱく質で、アトピー性皮膚炎患者の血中では、健常者と比べて10倍以上多いことが知られていました。

チームは今回、皮膚炎を発症したマウスと健常なマウスで、免疫細胞のたんぱく質を詳しく解析したところ、皮膚炎を患うマウスでは、たんぱく質「EPAS1」の量が5~10倍になっていました。

「EPAS1」を健常なマウスの免疫細胞に注入してみると、「IL-31」が増えて、逆に 皮膚炎のあるマウスを遺伝子操作して、「EPAS1」を抑制すると「IL-31」も減りました。患者の免疫細胞を培養して行った実験でも、同様の結果になったとのことです。

厚生労働省が2011年にまとめた報告書では、国民の1割程度がアトピー性皮膚炎を患っていると推計しましたが、治療法はかゆみを抑える塗り薬などによる対症療法しかありません。

チームの福井宣規教授(免疫遺伝学)は「新しい治療法の選択肢を示したい」と話しています。    

 

19. 「ひとり」より「仲間と」運動で効果

50歳代の男女を対象に、将来的に階段の昇降など日常生活での動作に支障が出るリスクと余暇の過ごし方との関係を調べたところ、男女とも「仲間と一緒の運動」が有効だったとの研究結果を、筑波大などの研究チームが米科学誌プロスワンに発表しました。

一人での運動では効果が確認できず、研究チームは「仲間との関わりが体に良い影響を与えている。」とみています。

研究には、厚生労働省が毎年実施している「中高年者縦断調査」のデータを活用しました。「椅子に座ったり、立ち上がったりする」「排泄する」など日常生活の10種類の動作について問題なく行動できると答えた50~59歳(2005年時点)の男女2万2770人を対象に、趣味・教養(囲碁、旅行など)運動・スポーツ、地域行事など余暇の活動と、5年後の体の状況の関係を調べました。喫煙や病気などの影響は除いて分析しました。

運動をしていない人で、5年後に一つ以上の動作に支障が出るリスクの大きさを1とすると、いつも誰かと運動をしている場合、男性で0.68、女性で0.74と明確にリスクが低くなりました。一方、一人で運動をする人は、男女とも統計的に意味のある効果が確認できませんでした。女性の場合は、趣味・教養も効果があったとのことです。

チームは、誰かと一緒に運動をしていると、精神的な健康を保つ効果があるとの研究結果を発表しています。武田文・筑波大教授(公衆衛生学)は「誰かの行動に合わせて動いたり、コミュニケーションをとったりすることが、体にも良い影響を与えるのではないか」と話しています。

 

18. AI活用し、がん最適治療へ

国立がん研究センターと産業技術総合研究所などが、人工知能(AI)技術を使って、「がんの症状に応じた最適な医療を患者ごとに提供できるシステムの開発にのりだす」と発表しました。

膨大な過去の患者の治療データを幅広く分析して、正確ながんの診断や治療法の選択の提示ができるようにしたいと話しています。3億8000万円の事業費で、5年後の実用化を目標としています。

同センターには、患者の血液検査結果やコンピューター断層撮影(CT)による画像診断情報など、多くのデータがあります。これをAIが読み取れるように統合して、自ら学習を深めていくAI技術の一つ「深層学習(ディープラーニング)」によって解析します。

同センターの浜本隆二・がん分子修飾制御学分野長は「システムができれば、抗がん剤の効果や副作用を予測して無駄に投与しないといったことも可能になるでしょう。」と話しています。

 

17. 30代男性糖尿病の人は、心臓病リスク20倍

糖尿病の30歳代男性が心筋梗塞や狭心症などの心臓病を発症する確率は、糖尿病ではない同年代の男性の20倍近く高いとの分析結果を、藤原和哉・新潟大学准教授(内科)らの研究チームが国際専門誌に発表しました。一般に糖尿病患者の発症率は2~4倍とされますが、それを大幅に上回りました。

心筋梗塞などは働き盛りの突然死の主な原因とされ、糖尿病で血糖値が上がると、動脈硬化が進んで発症しやすくなります。

チームは診療報酬明細書のデータベースから、2008~2012年に健康診断を受けて、心臓病になったことがない31~60歳の男性11万1621人を抽出して、高血圧や肥満などの他要因に配慮し、糖尿病の人と血糖値が正常な人との心臓疾患の発症率を比べました。

その結果、30代では最大18.2倍の差があり、40代は2.7倍、50代は2.5倍に縮まりました。血糖値がやや高めな「糖尿病予備軍」でも30代の発症率は2.9倍で、40~50代の0.9~1.6倍を上回りました。

チームの曽根博仁教授(内科)は「糖尿病と診断されたり、血糖値が高めだったりした場合は、若くても安心できず、逆に若いからこそ危険性が高いと言えます。早めに生活習慣の改善などに取り組むことが重要です。」と話します。

 

16. iPS細胞から がん殺傷細胞 作製に成功

京都大ウイルス・再生医科学研究所の河本宏教授(免疫学)らのグループは、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、がん細胞を殺傷する免疫細胞「キラーT細胞」を作製することに成功し、血液のがんである白血病への治療効果をマウスで確認したと発表しました。これまでの方法に比べ、高品質の「キラーT細胞」を効率良く増やすことができ、実用化を目指します。米医学誌「キャンサー・リサーチ」(電子版)に掲載されました。

「キラーT細胞」には、がん化した細胞だけを認識して破壊する性質があり、患者に投与すると、がん治療に有効であることが確認されています。これまでは、体内にある「キラーT細胞」を体外で培養して患者に戻す方法がありましたが、なかなか増えないうえ、長期間培養すると細胞が疲弊して、使えないこともありました。

このため、健康な人の血液から採取した「キラーT細胞」をiPS細胞に変えて、「キラーT細胞」を再び作ったところ、元の「キラーT細胞」よりも増殖能力があることが判明しました。

グループによると、試験管での実験で元の「キラーT細胞」と同等の能力を発揮し、マウスを使った実験でも治療効果が確認でき、正常な細胞を誤って攻撃することもなかったということです。

 

15. かぜ薬で 膀胱がんの転移抑制

かぜ薬の成分に、膀胱がんの転移を抑える効果があることをマウスの実験で確かめたと、北海道大学のチームが英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表しました。来年度から治験を始める予定で、抗がん剤と一緒に使うことで完治を目指す治療法の開発が期待されます。

膀胱がんは、膀胱内の表面にとどまる「浅いがん」と、奥の筋肉まで達する「深いがん」があります。深いがんは他の臓器に転移しやすく、抗がん剤が効きにくい特徴を持っています。

チームは、人の「深いがん」の細胞をマウスの膀胱に移植して、転移したがん細胞を調べたところ、元のがん細胞より動きが活発で、細胞内のある特定の酵素が3~25倍に増えていました。また、膀胱がん患者25人を調べると、転移したがん細胞で同様に酵素が増えていることがわかりました。これらの結果から、「この酵素が、転移したがん細胞を活発化し、抗がん剤を効きにくくさせている可能性がある。」と分析しました。

マウスの転移したがん細胞を培養し、この酵素の働きを妨げるかぜ薬の成分「フルフェナム酸(抗炎症薬)」を投与したところ、がんの活発な動きが止まりました。また、抗がん剤だけを投与すると、がん細胞の一部が生き残って活発化したのに対し、フルフェナム酸を一緒に投与したがん細胞は抗がん剤が効き、ほとんど死滅しました。

チームの田中伸哉教授(腫瘍病理学)は「フルフェナム酸は認可されている薬の成分のため、安全性も確認済みだ。早い時期にがん治療で実用化される可能性がある。」と話しています。

 

14.ノーベル医学生理学賞 「オートファジー」って何?

細胞内でたんぱく質を分解し、リサイクルする「オートファジー(自食作用)」の仕組みを解明した大隅良典・東京工業大学栄誉教授(71)がノーベル医学生理学賞に決まりました。

ギリシャ語でオートは「自分」、ファジーは「食べる」を意味します。

私たちの体は、約60兆個もの細胞からできていて、絶えず新しい細胞に生まれ変わっています。栄養状態が悪くなって細胞が飢餓状態に陥るようなことがあると、自分自身のたんぱく質を分解して再利用し、新たな細胞を生み出します。

この「オートファジー」が働かなくなると、細胞内のゴミや老廃物を浄化したり、細胞内で作られるたんぱく質の品質を管理出来なくなります。こうした異常が、がんや糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマー病などの発症に関わっているとみられています。

大隅先生の業績の後、さまざまな病気との関連が注目されるようになって、「オートファジー」に関する論文は年間5000本も発表されています。さらに、細胞内のリサイクルの仕組みを解明し、治療につなげようと製薬企業なども研究にしのぎを削っています。

13.何でも食べると認知症のリスク減少する

日々の食事で多様な品目の食品をバランスよく食べている人は、そうでない人に比べて認知症につながる認知機能が低下する危険性が約4割低いことが、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の調査でわかりました。

同センターの大塚礼室長(栄養疫学)らは、60歳以上の約1200人を対象に、30点満点の認知機能検査を2000年から複数回実施しました。そのうち初回が28点以上だった60~81歳570人について、連続3日間の食事の献立調査を実施しました。穀類や野菜、肉などの食品摂取量から食事の多様性を数値化しました。

食事の多様性の数値が高い順に4グループに分けて、認知機能検査の2回目以降の点数との関係を調べました。その結果、食事の多様性が高いグループほど点数が下がりにくい傾向が見られました。多様性の数値が最も高いグループは、最も低いグループよりも認知機能が低下する危険性が44%低くなりました。

大塚室長は「認知機能は多様な栄養素によって維持されていると考えられる。買い物や調理などの準備行動も脳によい影響を与えているのだろう。」と話しています。

12.猫ちゃん もっと長生きできるかも

東京大学の宮崎徹教授らの研究チームが「猫に多い腎不全の原因を解明した。」と英科学誌「サイエンティフック・リポーツ」に発表しました。

腎臓は、血液中の老廃物を尿として排出する役割があります。腎不全はこの機能が働かない状態のことで、尿の通り道となる管内の細胞が死んではがれ、ゴミとなって塞いでしまうしまうことが原因となります。猫の場合は5~6歳で急性の腎不全になることが多く、そのうちの5~7割が改善せずに、慢性腎不全で15歳程度で亡くなってしまいます。

人やマウスでは、急性の腎不全になった場合に血液中に固まって浮遊しているたんぱく質「AIM」が活性化し、ゴミの排除に関わって腎機能を改善させるが、猫の場合は「AIM」が急性腎不全になっても働かないことを研究チームが発見しました。

このたんぱく質の働きを利用した薬の開発が進められており、猫だけでなく人への応用も期待されます。宮崎教授は「数年で猫の薬が使えるようになる見込みで、猫の寿命を大幅に延ばせる可能性がある。」と話しています。

11.ぜんそくの原因解明

千葉大学の中山俊憲教授(免疫学)のチームが「ぜんそくなど重いアレルギー疾患を引き起こすたんぱく質を発見し、発症の仕組みを解明した。」と米科学誌サイエンス・イムノロジーに発表しました。

このたんぱく質の働きを止める抗体を投与することで、根本的な治療が期待できるとのことです。

ぜんそくは気管支などが炎症を起こして、気道がふさがって呼吸困難を引き起こします。アレルギー反応を起こした病原性免疫細胞が血管の外に出て、炎症の原因となることが既に判明していました。

研究チームは、この免疫細胞が血管の外に出る仕組みに着目しました。アレルギー反応によって血小板から放出される「ミル9分子」というたんぱく質が血管の内側に付着して、免疫細胞の通り道を作っていることを突き止めました。「ミル9分子」の働きを止める抗体を作ってぜんそくのマウスに投与したところ免疫細胞が血管の外に出なかったとのことです。

重度のぜんそくの治療は、ステロイド注射など対症療法が主流ですが、効果がない例も近年、多く報告されています。中山教授は「患者の不安が減る画期的な治療薬の開発につながる。」と話しています。

10.空腹時ほど もの覚えよい

東京都医学総合研究所の長野慎太郎主任研究員(神経科学)らの研究チームが「空腹時の方が満腹時よりも学習能力が向上する」ことをショウジョウバエの実験で確認したと発表しました。動物の記憶の仕組みは、細胞や生体分子レベルではほぼ共通していて、人にも当てはまる可能性が高いとのことです。

チームは通常通り餌を与えたショウジョウバエのグループと絶食させて空腹にしたグループを比較しました。まず、あるにおいでハエの入った容器を満たして、電気刺激を与えました。換気後に別のにおいで容器を満たし、今度は電気刺激を与えませんでした。これを繰り返すと、ハエはにおいを学習して電気刺激のないにおいに集まるようになりました。

実験の結果、8~24時間絶食させたハエは、通常通り餌を与えたハエに比べて約半分の時間で学習していくことがわかりました。また、ハエの脳内の状態を調べると、記憶に関わる物質「ドーパミン」の放出量が、空腹時は満腹時の約1.5倍に増えていると考えられました。

長野主任研究員は「記憶力向上の新たな手掛かりが得られました。試験の一夜漬けは空腹の方が効率的だと考えられます。」と話しています。

09.iPS細胞の期待と課題

マウスの細胞からiPS細胞(induced pluripotent cell:人工多能性幹細胞)を作ることに成功したとの論文を京都大学の山中伸弥教授らが発表してから8月で10年。翌年にはヒトでも成功し、再生医療への応用も始まりました。

体中のさまざまな細胞に分化でき、ほぼ無限に増殖できるのがiPS細胞が持っている能力です。人の体の細胞はいったん皮膚や臓器になると元に戻らず、細胞はその役割を担い続けます。が、山中教授は四つの遺伝子をマウスの皮膚細胞に入れて、役割が決まる前の状態に戻す「初期化」に成功しました。

10年で作製法も進化しました。細胞を初期化させる因子として選んだ4遺伝子の運び役を当初、核のDNAを傷つけることがあるものからその心配のないものに変更して、がん化リスクを低減しました。さらに因子も4遺伝子のうち、がんに深く関わる1遺伝子を除いて新たに別の遺伝子などを加えた計6因子を血液細胞に導入して作っています。

iPS細胞で特に期待されているのは、新たに細胞や組織を作って患部に移植する「再生医療」やiPS細胞から病気の細胞や組織を作って、試験管内で病気の原因解明や治療薬開発を探る「創薬・疾患研究」です。

山中教授はiPS細胞のがん化や遺伝子変異を課題としています。また、患者の細胞から毎回iPS細胞を作ると時間と費用がかかるので、拒絶反応の起きにくい細胞の型を持つ人の血液から前もって作っておいて、必要な時に提供するストック事業も進んでいます。

                                                         (毎日新聞・科学)

08.男性喫煙3割切る

日本たばこ産業(JT)が発表した2016年の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、男女を合わせた喫煙者率は前年に比べて0.6ポイント減の19.3%となり、過去最低を更新しました。

特に男性が1.3ポイント減の29.7%と1965年の調査開始以来、初めて3割を切りました。女性は0.1ポイント増の9.7%でした。

JTは「健康意識の高まりや定価の改定が影響している」と分析しています。地域別では男女とも喫煙率が最も高かったのは北海道で、男性が35.3%で女性は18.1%でした。

                                                  

07.平均寿命が過去最高に

2015年の日本人の平均寿命は女性が87.05歳、男性は80.79歳で、いずれも過去最高を更新したことが厚生労働省が公表した簡易生命表でわかりました。

女性は2014年まで3年連続で長寿世界一でしたが、2015年は香港に次ぎ世界2位となりました。男性は前年の3位から4位に下がりました。しかし、2014年に比べて女性が0.22歳、男性は0.29歳寿命が延びました。

厚労省は「治療や薬の進歩で主要な死因であるがんなどの死亡状況が改善されて、病気になっても長生きできる人が増えた。今後も男女の寿命が延びることが期待される」としています。

厚労省の試算では、2015年生まれの日本人が75歳まで生きる人の割合は女性が87.7%で、男性が74.6%です。90歳まで生きる割合は、女性が49.1%で、男性が25.0%でした。

国・地域別の平均寿命(歳)は、男性が 1.香港 81.24    2.アイスランド 81.0    2.スイス 81.0    4.日本 80.79    5.シンガポール 80.4   女性は   1.香港 87.32    2.日本 87.05    3.スペイン 85.58   4.韓国 85.5      5.スイス 85.2  でした。                     

06.介護保険も医療費控除の対象です

一年間に支払った医療費の合計が、10万円(または所得×5%の少ない方の金額)を超えた時、超えた額を所得から差し引いて税額を再計算する制度があります。「医療費控除」と言い、差額が確定申告によって還付されます。

名前は「医療費控除」ですが、介護保険の利用料も合算できます。つまり、在宅や施設で介護サービスを受けた際に支払う自己負担額が対象になります。老人保健施設と療養型病床は、利用料と標準的な食事費の全額が対象になります。しかし、特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)は、他の二つの施設と違い、利用料と食事の負担額の1/2しか対象になりません。

在宅や通所の場合も、自己負担額の全てが対象になりますが、ケアプラン(介護サービス計画)の中に訪問介護や通所リハビリなど、医師や看護師による「医療系サービス」が最低でも一つ含まれていなければなりません。また、介護目的でも自宅改修の費用(手すりの設置、段差の解消など)、福祉用具(車椅子など)のレンタルや購入の代金などは認められていません。

これらは、医療や介護を受けた本人でなくても、生計が同じであれば実際に負担した人の所得から控除されます。つまり、世帯内での合算も可能です。一度、世帯員全体の金額を計算してみてはいかがでしょうか。 

05.むし歯とダラダラ食べ

食後のはみがき習慣はとても大事ですが、それに加えてむし歯にならない食生活について患者さんにアドバイスをしています。一番良くないのがダラダラ食べ、ダラダラなめです。

甘いお菓子やアメ、キャラメル、ドリンクなど、ついつい手が伸びてしまいますが、無意識のうちに砂糖を摂取しています。子供たちに人気の炭酸飲料は1本(350ml)にスティックシュガーが約8本分(24㌘)が入っています。缶コーヒーは微糖でも約6本分(18㌘)です。長い時間お口の中に甘いものが入っていると、唾液の再石灰化作用も進まず、むし歯菌が好む環境になってしまいます。

ダラダラ食べ、ダラダラなめはむし歯だけでなく、生活習慣病のリスクも高めます。飲食のタイミングはメリハリが大切ですね。

6歳前後のお子さんをお持ちの親御さんは、注意して仕上げのはみがきをしてあげてください。6歳前後になると一番奥に第一大臼歯という永久歯がはえてきます。はえ始めは乳歯よりも背が低いので、歯ブラシが届きにくく汚れがたまりがちになり要注意です。

予防が第一。おやつなどのダラダラ食べをしないようにして、食べたら磨く習慣を身につけさせるようにして下さい。

歯科医院でのフッ化物塗布や深い溝をむし歯になる前にうめるシーラントも有効です。

 

04.のどに物がつまった時の対処法

食べ物による窒息で、毎年4000人以上の方が全国で死亡しています。 その大半は高齢者ですが、40代以下でも毎年一定数発生しています。 では、実際に家庭で、食べ物や異物を飲み込んでのどを詰まらせ、目を白黒 させている人を見つけた時に、あなたはどうすればいいでしょうか。 

のどに物がつまった時の対処法として、

傷病者がせきをすることが可能であれば、せきを続けさせて下さい。 せきは異物の除去に最も効果的です。 

・手のひらで背中を強く数回叩く(背部叩打法)か、背中に回って 自分の両手を傷病者のお腹側で握り、上腹部を力強く手前上方に 引き上げて下さい(腹部突き上げ法)。 

・乳児の場合は片腕にうつぶせにして乗せて、手のひらであごを支え 
背中を叩いて下さい。腹部突き上げ法は乳児には厳禁です。 

窒息への対応は時間との勝負です。 
意識が無い場合はただちに119番通報し、心肺蘇生法を行いましょう。 
                             (歯科保険医協会)

03.この歯はいつまで使いますか ? 

乳歯の奥歯は虫歯のでき易い場所ですが、お母様から「この歯はいつまで使う歯ですか?」とよく質問されます。

10歳から12歳まで使います。乳歯は永久歯がはえるガイドとなりますので、適切に治療してもらって大切にしましょう。

(要説 小児歯科学)

02.点眼後はしばらく目を閉じて・・・。

点眼後に「目をパチパチさせる」と、薬が目の外に流れ出てしまい十分な効果が得られません。

目薬の1滴は目の中にためることができる適切な量なので、点眼後は「しばらく目を閉じて、薬が鼻やのどに流れないように目頭を軽く押さえる」が正しい点眼です。

(ファイザー)

01.歯垢(しこう)をへらす。

「虫歯」は酸で歯の表面のミネラルが溶けだした状態です。「歯周病」は歯を支える骨が溶けた状態です。

甘い物の間食が多く、良くかまずに食べると、歯垢(プラーク)がたまり易くなります。

良くかむと唾液の分泌が良くなり、体の免疫を高めて歯の再石灰化を促します。また野菜など繊維質の物を良くかむと歯の表面の歯垢(プラーク)が落ちます。

飲み込むように食べずに、ゆっくりかんで味わう習慣が大切です。
1日3回、食後の歯磨きも忘れずに。

                                                                             (くらしナビ医療)

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